Coinomi ウォレットについて

Nayutaの広報、Hitomiです!

今回は、Coinomi ウォレットを紹介します。ウォレット機能の紹介シリーズ第3回目です。これまでの記事は、ElectrumBitcoin Core について書いています。
この記事では、Coinomi の特筆すべき特徴を説明していきます。使い方に関しては、他の方がきれいにまとめている記事等があると思うので、そちらを参考にしてください。


 

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出典元:Coinomi 公式ウェブサイト

概要
Coinomiは、高セキュリティのマルチアセットウォレットです。500種類以上の仮想通貨やトークンを扱っています。複雑なブロックチェーンの世界で、誰にでも簡単に使ってもらえる実用的なインターフェースになることをミッションに掲げています。無料で使えます。

基本情報
URL: https://www.coinomi.com/
2014年に George Kimionis氏がFounder&CEOを務める Coinomi Ltd. が作ったオリジナルウォレットです。
Android / iOS で使うことが出来ます。また、2018年中に Windows / MacOS / Linuxに対応したデスクトップ型のウォレットも出るようです。

2018年11月9日現在の最新バージョンは1.11.6です。


特徴

1:多くのコインに対応しています。(以下、公式ウェブサイトでcoinと書かれている箇所に関しては、ここでもコインと記載していきます。)
現在、125ブロックチェーン、382トークンに対応しています。これは、アセットリストから検索できます。私の記事で毎回紹介しているBitcoinのテストネットに関して、他ウォレットだと専用アプリをダウンロードしなければいけないことが多いのですが、Coinomiはその必要がなく、1つのアプリ内で収まります。

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図1:公式ウェブサイトでも、対応コインを探すことが可能です

2:以下、コインに関する機能やサービスを順不同に羅列していきます。

・コイン同士をウォレット内ですぐに交換することが出来ます。これには、 ShapeshiftChangelly という両替サービスが使われています。交換できるコインの種類は、Coinomiではなく、この2つのサービスに依存するので注意が必要です。また、Coinomiサーバーには、ユーザーの情報は一切残りませんが、この両替サービスを利用する際には、アカウントを作成する必要があります。

・クレジットカードでコインを買うことが出来ます。

・Tokenに投資する機能があります。

・コインのフォークエアドロップの情報にも対応しています。

・万が一、Coinomiがコインをアセットリストから消す、つまりCoinomiでは保管できなくなる場合、ウォレットに警告バーナーを表示したり、SNSでアナウンスしたりと、前もって知らせてくれるようです。対応が遅くなりアクセスできなくなった後でも、こちらの手順から仮想通貨を移動させることが出来ます。

なお、Coinomiは年中無休のカスタマーサポートが付いているようなので、フォークなどの緊急の場合には安心ですね。

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図2:アプリ内イメージ図(公式ウェブサイトより)

3:Coinomiは、2014年にはじまって以来、ハッキングされたことや情報漏洩にあったことがないと、公式ホームページに記載しています。

4:グローバルなウォレットです。168の法定通貨と25か国語に対応しています。一部規約等の部分を除き、日本語にも対応しています。

5:秘匿性・匿名性を重視しています。資産にアクセスするようなKYCや、IPアドレスやIDを結び付けること、トランザクションを追跡するようなことはありません。Coinomiのサーバーは、IPアドレスを隠すことで、ユーザーのリクエストを匿名化しています。
 

6:Coinomiでは、セグウィットネイティブ(P2WPKH)アドレスが、デフォルトで生成されます。セグウィットネスティド(P2SH)や、通常のレガシーアドレスも受金アドレスから簡単に生成できます。Bitcoinネットワークでは、手数料が抑えられ、速いトランザクションを可能にします。

・Default: セグウィットネイティブ。Bitcoinメインネットのアドレスはbcから始まる。
・Compatibility: セグウィットネスティド。Bitcoinメインネットのアドレスは3から始まる。
・Legacy: 通常のアドレス。Bitcoinメインネットのアドレス1から始まる。

Coinomiでは、数種類のコインに対しセグウィット対応が出来ています。セグウィットネイティブに対応しているコインのアドレス一覧はこちらから確認できます。

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図3:上からネイティブ、ネスティド、レガシーアドレス

 
7:HDウォレット(階層的決定性ウォレット)です。BIP39に基づいた復元フレーズが使われており、12、15、18、21または24単語から成っています。

8:秘密鍵はサーバーではなく端末に保管され、意図せず外に出ていくことはありません。また、マスターキーはAESで暗号化されています。

この秘密鍵は、復元フレーズからエクスポートすることも出来ます。例えば、他ウォレットを使いたい場合、こちらのツールを使うことで、Coinomiの復元フレーズから秘密鍵をエクスポートし、他ウォレットに読み込ませます。(このツールは、ブラウザでローカルに動き、完全オープンソースです。)詳しい手順はこちらを参考にしてください。

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図4:HDウォレットのイメージ図

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図5:エクスポートのイメージ図

 
9:反対に、他ウォレットからCoinomiにコインを移すことも出来ます。方法は3つあります。復元フレーズを使う方法、通常のトランザクションをつくり全残高を送金する方法、秘密鍵をスイープする方法です。詳しい手順やメリット・デメリットはこちらから確認できます。

スイープ機能について以下、補足します。あまり使うことのない機能かと思うので軽く読み流してもらっても構いません。

スイープとは、秘密鍵(資産)を吸い取る機能です。例えば、ペーパーウォレットからの送金の場合に使うことが出来ます。

秘密鍵のインポート機能とは異なります。スイープは、資産はスイープ後のウォレットからのみ、アクセスすることができます。一方インポート機能は、資産はどちらのウォレットからも、アクセス・送金することが出来ます。ただし、ウォレットのアプリケーションによって、具体的になにをスイープ・インポートと指すかはやや異なるようです。

Coinomiでのスイープは、移動前のウォレットを空にし、手数料をひいた状態で、Coinomiに全残高が送金される仕組みです。

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図6:スイープイメージ図

 
10:今後、Lightning Network、 Atomic Swaps、 そのほかのメジャーな通貨に対応していく予定のようです。

 

注意

Coinomiはオープンソースではないという内容を、しばしば目にします。仮想通貨の世界では、オープンソースであることは開発の透明性などの観点から、ひとつの大事な指標です。Coinomiのコードは初期に公開されていますが、現在のコードが更新されていないことと、ライセンスに関する変更が行われたことが、このように言われる原因になっているのではないでしょうか。ちなみに、この記事によれば、CEOのKimionis氏は、Coinomiはオープンソースであるという主張をしています。

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図7:Google play内のアプリケーションは、1.11.6が最新バージョン

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図8:Githubの最新リリースのバージョンは、2016年11月3日の1.6.5

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図9:Githubの直近の更新日は、2017年10月24日


感想
Coinomiは、アプリもウェブサイトもUIがよく、使いやすいです。様々な機能や通貨をひとつのアプリ内で使えるのも便利ですね。最後に記載したオープンソースについては、そういう事実も踏まえたうえで、ユーザー自身が使うかどうを決めるのがいいでしょう。