Mycelium ウォレットについて

 

Nayutaの広報、Hitomiです!

今回は、Mycelium ウォレットを紹介します。ウォレットの紹介シリーズ第4回目です。
この記事では、Mycelium の特筆すべき特徴を、ウォレットを実際に操作したときの画像も交えながら説明していきます。使い方に関しては、他の方がきれいにまとめている記事等があると思うので、そちらを参考にしてください。


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出典元:Mycelium Bitcoin Wallet

概要
Myceliumは、高い称賛を得ているビットコイン専用のウォレットです。ビットコインキャッシュモジュールというアプリも出しています。2014年に、Blockchain.info からBest Mobile App賞を受賞しています。

基本情報
URL: https://mycelium.com/
Myceliumは、2008年メッシュネットワークプロジェクトで、ハードウェアエンジニアチームとしてスタートしました。それからBitcoinの出現を機に、この技術に傾いていき、ウォレットを含むいくつかのプロジェクトにおいて製品を開発・ロンチし、成功してきました。
Android / iOS で使うことが出来ます。AndroidとiOSは、開発チームが違うらしく仕様がだいぶ異なります。Androidのみが日本語対応していますし、iOSよりも機能が多いようです。

2018年11月16日現在の最新バージョンは2.11.1.21(Android)、1.11(iOS)です。

今日紹介するのはAndroid版です。


特徴

1: オープンソース開発です。

2: ビットコインキャッシュモジュールがあります。これを使うと、ビットコインキャッシュを見つけてくれ、ビットコインに交換できるようです。
昨年の夏、ハードフォークした際に、ビットコインキャッシュが割り当てられました。全員ではなく、当時ビットコインキャッシュに対応すると発表していた取引所にビットコインを預けていた人、秘密鍵を自分で管理するウォレットを使っていた人が、受け取れたようです。
後者の人で、ビットコインキャッシュを受け取ったかどうかが不明な場合、このツールが役に立ちます。Myceliumは、現在のところ、ビットコイン専用ウォレットなので、交換する機能を付けているのかもしれません。
ちなみに、同期に20分から数時間ほどかかるようです。

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図1:ビットコインキャッシュモジュール

 
3: セグウィットやマルチシグには対応していません。ビットコインのメインネットの場合、アドレスが1から始まります。

 

4: Myceliumはクラウドセールを行ったことがあります。2016年の5月1日に18日間のセールで、2500人以上の参加者が集まり、5,131.445BTC(当時のレート約$450/BTCでいうと、約$2,309,150)が集まったとのことです。SAR(Stocks Appreciating Rights)という合法の手段をとり、参加者はMyceliumのトークンという形でSARを保有するか、あるいは、のちにMycelium社のclass B sharesに変えることが出来ます。これはICOとは異なった手段になります。

 

5: HDウォレットです。大半の他のウォレットは、初期設定時に復元フレーズを半強制的に覚えさせられます(メモさせられます)が、Myceliumは、自分で復元フレーズ(BIP39)を覚えにいかないといけません。このバックアップ作業は非常に重要で、万が一バックアップをせずアプリに入れなくなった場合、資産を取り戻すことが出来ません。ちなみに、Myceliumの復元フレーズは12単語で成っています。

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図2:このように注意書き兼案内が表示される

 
6: 外部サービスとのAPI連携は、以下の通りです。
Coinapultを通すと、さまざまな法定通貨とヘッジをかけることが出来ます。法定通貨で価値をためておき、ここぞというときにすぐビットコインアドレスに送金することが出来るようです。ただしこれは、MyceliumのHDウォレットではなく、Coinapultの管理下に置かれます。
Purse.ioを通すと、アマゾンで15%ディスカウントの価格でビットコイン払いが出来るようになります。
・ハードウェア型ウォレットTrezorLedgerKeepkeyに対応しています。

Cashila を通して、SEPAエリアで支払いが出来たようですが、現在はCashilaが閉鎖しています。

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図3: CoinapultでUSDのアカウントを作成した様子
アドレスはではなくから始まっている

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図4: Purse.io
「Try different address format」をクリックして、から始まるアドレスを生成する。画面のようにbcから始まるアドレスだと、Myceliumはセグウィットに対応していないため、読み込んでくれない

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図5: ハードウェア型ウォレットのアカウントを使うことが出来る
ハードウェア型ウォレットを失って使えなくなった場合などに有効だ

 
7: ビットコインを手に入れる方法は、以下の通りです。
・外から送金してもらう
・他のコインからビットコインに変換する
Simplexを通して、クレジットカードでビットコインを買う
・Myceliumマーケットで個人売買取引を行う
Glidera を通して、アメリカまたはカナダの銀行口座から売買を行う

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図6: Glideraを使用する場合の注意書き
外部サービスを併用する場合は、プライバシー保護などの注意が必要

 
8: Mycelium Local Trader という機能があります。交換所の機能を果たしてくれます。第三者が運営する通常の交換所とは異なり、自分の近くにいるトレーダーを探しだし、直接その人に会って法定通貨とビットコインを交換するという仕組みです。トレーダー自身が、資産とリンクする秘密鍵を管理するウォレットなので、Local Traderが法定通貨やビットコインを保有することは一切ありません。

・Mycelium Local Traderのサーバーは、売買する人の間で取引を調整したり、管理したり、取引に基づいたトレーダーの評判の評価計算をしたりします。この評判は、取引が成功したか中止されたかの数によって自動的に変わります。

・Mycelium Local Traderは、秘密鍵を、Myceliumサーバーでの登録や認証のために使います。このサーバーが記憶するのは、ビットコイアドレス、ニックネーム、エンターした場所での売りオーダー、取引履歴といった情報です。

・トレーダーたちは、チャットを使って、落ち合うタイミングや場所を決めます。全チャットの会話はエンドtoエンドであり、ビットコインの鍵を使って暗号化されています。チャットの内容にアクセスできるのは、そのチャットに参加している人なのでプライバシーは守られます。Myceliumサーバーは、タイムスタンプのある暗号化されたテキストのみを受け取ります。

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図7: Myceliumマーケット(出典元: 公式アプリ)
現在地を調べるか、都市または住所を入力して、近くにいるトレーダーを探す
画面内のkmで表示しているのは、恐らく相手との距離である

 
9: Torに対応しています。Orbotと呼ばれるアプリとSocksプロシキを使うことで、Torを使ったバックエンドのサーバーに接続することが出来ます。これによって、匿名を守りながらMyceliumを使うことが出来ます。使う場合は、アプリの性能が少し鈍ることがあるようです。
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図8: Torの設定画面より

10: オープンソースプロトコルのBitIDを採用しています。従来型のパスワード認証よりも安全です。

11: トランザクションの署名に、RFC6979 を採用しています。通常ブロックチェーン技術では、ECDSAという公開鍵暗号技術が使われています。これは、複数の署名で乱数を使いまわした場合に、秘密鍵が流出してしまう危険性があります。それを防ぐ技術が、このRFC6979です。

12: 詳細は記載しませんが、興味のある方はこちらもご参考ください。
BIP70 のペイメントリクエストに対応しています。
BIP120/121 のProof-of-Payment(支払いの証明)に対応しています。

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図9: BIP70より

13. ペーパーウォレットから送金することが出来ます。これには、秘密鍵かマスターシードが必要です。

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図10: ペーパーウォレットからの送金


感想
 
個人的にMyceliumは、どこに何の機能があるかなど少し見にくく感じ、使いずらいかなというのが、第一印象でした。ただ、触ってみると、API連携が多かったり、他のウォレットとは違う特徴を持っていたりと、ユニークなウォレットだなという風に感じました。最近ちょうどビットコインキャッシュのハードフォークが話題になっていましたが、Myceliumはビットコインキャッシュを積極的にサポートをしていく方針のようですので、今後の展開が楽しみですね。